本研究では、成人期の女性の自我同一性の達成度と、社会的・家庭的役割の遂行や、職業イメージ、生活の満足感との関係を見るために、平成9年度には看護婦740名を対象に質問紙による調査を行い、平成10年度には面接調査を行った。 今年度の面接調査は、平成9年度に実施した質問紙調査の結果を元に分類した自我同一性達成度の高位群12名、低位群4名に対して、平成10年10月から12月までの間に個別に行った。面接には半構成的な調査紙を作成し、一人に対して60〜90分で行った。調査項目は、自分の職業や結婚生活についてどう思うか、自分の成長に職業や結婚はどんな意味を持ったか、仕事をしていて、また結婚して良かったことはどのようなことか、職業上の役割や家庭における役割の遂行度、戦業以外の社会活動、女性の生き方に関する考え方等についてである。 現在その結果を分析中であるが、集計・分析の途中経過の中から、自我同一性の成熟には、家庭生活、職業生活の両面から個別の因子が複雑に絡み合っていることと、更に基本的には、その人の青年期までの発達状況の影響も大きいこと等が示唆されている。 今後の見通しは、面接結果の解析を平成11年の6月頃までに終了させ、その後平成9年度の調査結果を踏まえて女性の自我同一性の成熟と家庭的・社会的役割の遂行との関係について考察する予定である。
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