研究課題/領域番号 |
09610161
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
宇野 彰 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・精神薄弱部, 治療研究室室長 (10270688)
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研究分担者 |
稲垣 真澄 国立精神, 神経センター・精神保健研究所・精神薄弱部, 室長 (70203198)
加我 牧子 国立精神, 神経センター・精神保健研究所・精神薄弱部, 部長 (20142250)
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キーワード | 学習障害 / 局所脳血流量 / 認知神経心理学 / 改善 |
研究概要 |
学習障害児とは知的には正常ではあるが、読み・書きなどある能力だけが特異的に障害されている児童である。文部省の中間報告(1995)では、学習障害の背景には神経学的基盤があると推定しているが、その科学的根拠はまだ明確ではないと思われる。 本研究では、学習障害児の大脳機能低下部位における局所脳血流量と認知神経心理学的症状の継時的変化(改善)について検討することが目的である。対象は、頭部MRIにて局所性の病変を認めず、かつ認知神経心理学的症状として特異的症状を呈した学習障害児である。内訳は、特異的漢字書字障害例、読み書き障害例、書字障害例、言語性意味理解障害例などである。 初年度としての平成9年度は学習障害児の局所脳血流量の変化を調べる上でのベースラインとなる第一回目の測定を9名に施行し、大脳の局所大脳機能の低下部位を推定した.2年目の平成10年度はベースラインとしての第一回目の測定を平成9年度の症例に3名追加し、第2時点目となる症例については3名のデータを得た。その結果、初年度の報告と同様、学習障害児においても症状が類似している後天的大脳損傷成人での責任病巣と同様の大脳局所の機能低下が認められた。機能の変化については、症状には変化を認めなかった1名の特異的漢字書字障害児で局所脳血流量が低下していた左側頭葉の血流量には変化がなく、やはり1名の読み書き障害児での血流低下部位である角回を含む下頭頂小葉でも変化を認めなかった。一方、言語性意味理解障害を認めた1例では症状の改善と平行して局所脳血流量の改善が認められた。平成11年度は第2時点目の測定を5名以上を対象に行い、認知神経心理学的症状との関連性について検討する予定である。
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