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1998 年度 実績報告書

家族ケアリングの構造分析-家族変動論の視点から-

研究課題

研究課題/領域番号 09610162
研究機関北海道教育大学

研究代表者

笹谷 春美  北海道教育大学, 教育学部・札幌校, 教授 (00113564)

キーワード家族介護 / インフォーマルケア / ケアリング / 高齢者介護 / ジェンダー / 近代家族 / 家族規範
研究概要

98年度は、在宅介護者に対するアンケート調査および面接調査を実施した。函館市の「寝たきり・ぼけ老人を支える会」の会員、および、社会福祉協議会のホームヘルプサービスを利用している在宅介護者、という2つの母集団182名名に調査票を送付し、112名の有効回答をえた(回収率61.5%)。以下の知見を得た。
1. 家族介護者のジェンダー、続き柄、年齢等をクロスすると、多様なケアリング関係が浮かびあがった。介護者は女性が73.2%、男性が26.8%と、女性の方が多いが、男性も予想以上に多かった。配偶関係が38%、娘が30%、嫁が24.5%、息子が7.3%であり、全国平均に比べ、嫁介護は少なく、配偶者、娘が多い。
2. 介護者になった理由、経過、および介護の実態を、ジェンダー、ケアリング関係、家族規範等をクロスさせると、以下の類型が析出された。
A伝統的モデル:嫁-義理親ケアリング。夫や親族のサポートが弱く、公的サービスや施設の利用も少なく、孤独な介護が多い。介護者はあきらめ、忍耐、夫や親族への恨みをかかえやすい
B夫婦規範モデル:夫婦間ケアリング。夫の介護や子ども世代へ依存しない等、伝統的介護モデルと異なり、ジェンダー・家族規範において変化が見られる。しかし、夫婦間で閉じる傾向にあり、共倒れのリスクをはらむ。
C社会的介護モデル 娘-実親ケアリング。最も緊密な関係である。娘の意見が左右し、積極的に公的サービスを利用。夫および家族の理解もある
3. 調査では、BとCのモデルが多くみられた。これらは、高齢者夫婦家族割合の急増、3世代家族による老親扶養・介護規範の希薄化、近代・核家族規範の拡大等、日本の今後の家族の変動下の新しいケアリングモデルである

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 笹谷春美: "家族介護をめぐる人間関係-夫婦間ケアリングを支える物質的・規範的要因-" 高齢者問題研究. 13号. 123-138 (1997)

  • [文献書誌] 笹谷春美: "イギリスにおけるケアリング研究-フェミニズムの視点から-" 女性労働問題研究. 31号. 52-58 (1997)

  • [文献書誌] 笹谷春美: "講座社会学14 ジエンダー" 東大出版会, 297 (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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