環境NGOと自治体政策について、おもに地球温暖化問題、エネルギー問題への取り組みに焦点をあてて、とくに1997年12月に京都で開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)での、環境NGOおよび地方自治体の役割を中心に、同会議および関連のシンポジウムや反省会などに参加傍聴するとともに、福岡・北九州・大阪・京都・東京・仙台・札幌の各都市で調査を行った。 環境NGOとしては、気候フォーラム、CASA、市民フォーラム2001、グリーンピース・ジャパン、WWFジャパン、WRI、原子力資料情報室など、国際的に、また全国的な規模で活動するメジャーなNGOと、宮城県のMELON、仙台市のACT53、生活クラブ北海道などのローカルベースのNGOを比較考察し、両者の間のコラボレーションの可能性および課題を、資料収集および聴き取り調査によって検討した。 温暖化問題については従来、国家単位での取り組みがもっぱら論じられてきたが、京都市・京都府・仙台市・北海道などでは、自治体レベルでも積極的な取り組みがなされている。温暖化問題は、一般市民にとって可視性が低く、生活レベルでの実感がもちにくいが、京都での温暖化会議の開催を契機として、国際環境NGOや草の根型NGOのはたらきかけなどを得て、自治体レベルでも、省エネ運動への取り組み、公的施設への太陽光発電設備の設置などの積極的取り組みがはじまろうとしている。ただしゴミ問題やリサイクル問題などと比較して、自治体とNGOのコラボレーション(対等な協働関係)の本格的な展開は今後の課題であり、NPO法の成立以後の状況の変化が注目される。
|