研究課題/領域番号 |
09610164
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長谷川 公一 東北大学, 文学部, 教授 (00164814)
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研究分担者 |
吉原 直樹 東北大学, 文学部, 教授 (40240345)
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キーワード | グリーン電力 / コラボレーション / 環境NGO / 再生可能エネルギー / 地域おこし / 地域紛争 / 内発的発展 / 例示的実践 |
研究概要 |
1999年度は、主に東北・北海道の町村レベルでの風力発電、バイオマスなど再生可能エネルギー開発を中山間地域での地域おこしと結びつけようとする先進的な取り組みについて関係者への聴取調査、資料収集を行った。スウェーデンやデンマーク、ドイツ、カリフォルニアなどでの例示的実践に刺激をうけて、東京、仙台、札幌などに拠点をおく環境NGO・NPOと研究者が自治体や地元の地域おこしグループ、ベンチャー企業などとコラボレーション(対等な協働関係・共同作業)を行い、これら小規模な町村の風力発電やバイオマス事業の推進に大きな人的・情報的・経済的資源を提供しえていることが、北海道北檜山町、青森県野辺地町、同東通村、での事例研究から明らかになった。これらの地域では従来マイナスの材料だった強風や間伐材などを、地域固有の資源として電力開発を行い、地域社会に活力を生み出そうという新たな地域おこしの動きが活発化している。なお原子力開発のメッカだった東海村は、99年9月のJCO臨界事故を契機に、行政・住民の原子力に関する不安感、国や県の原子力行政に関する不信感が高まっており、人口1万人規模の東北の中山間地域の内発的な地域おこしをモデルとした地域づくりへの転換が模索されている。他方、原子力発電をめぐる長年の地域紛争を経験し、1996年に住民投票を実施した新潟県巻町においては、原発建設の是非をめぐる深刻な地域対立がなお続いており、町政の新たな転換にとって大きな桎梏となっている。このような地域対立による疲弊と住民間の亀裂の影響は、山口県上関原発の立地地域でも地域社会の分断としてあらわれている。生活クラブ北海道が中心となって1999年度からスタートした、電気料金の5%相当分をグリーン料金として拠出する「グリーン電力料金」は順調に参加者を伸ばし、環境税などを受容する社会的基盤の存在を示している。
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