本研究は、職務のシェンダー間分離の実態調査研究を通じて、労働過程のジェンダー研究に関する方法論の構築を目指している。 本年度は昨年度に引き続き、スーパーマーケットA社のインタビュー調査に取り組んだ。新たに生まれた女性店長の面接調査を引き続き実施するとともに、これと比較するうえで、男性店長をいくつかのタイプに分けて面接調査を行った。さらにまた、店長への予備軍としての女性課長および女性主任の面接調査を実施した。これによって、スーパーマーケットのミドルマネジメントを担う店長のジェンダーによる違いに関する輪郭をつかむことができ、また女性が店長にまで上り詰めるうえでの多様な困難を把握することができた。 また昨年度にA社で実施したアンケート調査(関東圏に働く正社員男女およびパートタイマー、合計500人)の結果を踏まえ、そのうちのひとつの店舗を重点的調査対象として選定し、店長、課長、主任、平の社員、パートタイマーの面接調査を実施した。各層の働き方および意識を具体的に聞き取ることによって、同一職場内部におけるジェンダー差と世代差の把握を行うことができた。 なお上記アンケート調査は、本科研費とは別にそれ以前から調査を行っていたスーパーマーケットB社のアンケート調査と比較可能な形で設計されている。今後は両者のデータ比較の中からA社の特徴を明確化し、研究の取りまとめを行いたい。
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