インドネシアは、わが国の開発援助が最も多く投資されている極めて関係の深い国デアリ、この国の着実な近代や社会・経済的発展はわれわれの強い関心のあるところである。 そのインドネシアでは、国内総生産の成長率が1988年に5.8%、1989年に7.5%、1993年に6.5%を示したように、全体として1980年代後半以降の経済成長率が顕著であったにもかかわらず、農村人工の割合は以前として高いままであり、農業部門が全就業人工の半分以上(1990年には55.9%、92年には53.7%)を占めたままである。しかし、開発経済の推進下で農村経済の商業化や生活の都市化が急速に進展し、そのため非農業部門や兼業に従事する農民が増加してきている。そこで本研究では、まずこのような農村部における商業化や都市化の実態を、統計資料や事例研究報告をもとに明らかにすることにつとめた。 そして、このような農村地域の開発の影響を受けて農村の人々の生活が変わってくるにつれて、彼らの学校教育に対する態度も変化してきたことが明らかになってきた。そのことは、これまで義務教育とされてきた小学校の就学率の向上に端的に示されている(1973年に64.6、83年に84.6%、92年に91.5%)。こうして、小学校の就学率が90%を上回る実績を達成するようになったことのを受けて、インドネシア政府は、第6次5ケ年計画の下で中学校3ケ年の課程を小学校の課程とともに基礎教育として再編し、9年間の義務教育を実施することにしたのである。現在この義務教育の延長にともなう課題の分析中である。
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