平成9年度の研究計画は、(1)アメリカにおける学級コミュニケーション論と日本の学級コミュニケーション論の比較研究、(2)学級コミュニケーションの実証的研究、(3)これまで収集した約500事例の言語コード分析などを実施することであった。 (1)については、試料(16)や論文(8)の収集に努め検討しているが、コミュニケーションという視点やその具体的な分析は多くなく、比較研究を発展させるためには次年度も引き続き収集が必要になっている。 (2)については、学級コミュニケーションの実態調査を13日間に渡って実施した。調査員は15名であるが、授業、特別活動、休み時間などにおける教師や児童の言語活動、さらに、学級や学校での掲示物を中心とした「言語コード」を収集した。現在、このデータを調査員とともに分析している。なお、3月には調査対象校を離島に設定し調査を実施する予定であるが、ここでは言語活動の「地域差」を中心に調査する。 (3)については、いくつかの局面(子どもの「けんか」、教師の「ほね方・叱り方」、給食時間、掃除時間など)に分類し分析を行った。この成果は、子どもの「けんか」と学級コミュニケーションというテーマで学会発表を行い(日本教育社会学会1997年度大会)、また、これらのデータを基礎に、「ほめ方・叱り方」と学級コミュニケーションという論文を作成中である。
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