平成11年度は、これまでの研究成果を報告書としてまとめることであった。以下に研究実績の概要として三点を中心に報告する。 (1)教師の「ほめる・叱る」という行為は、学級のあり方や人間関係を左右する規定力を持ちはじめている。これを価値行為の拡大と性格づけたが、その条件は、「ほめることの拡大」「個に即する指導の拡大」「児童の人間関係能力の未熟さの拡大」である。また、価値行為であるため学級経営に「型と差異」が形成され、ほめること、叱ることの可能性と矛盾が現れている。 (2)教師の価値行為は、学級指導に規則的な言語活動を形成しはじめている。この規則性をもつ言語活動を、言語コードとした。この基本パターンは、善悪・依存コード、喜「怒」哀楽・困惑コード、受容・自律コードの三つに分類され、それぞれの言語コードが、学級生活の質(教師と児童および児童と児童の関係)を形成している。 (3)言語コードの解析によって、教師に「指導タイプ」があり、使用する言語コードだけでなく学級経営全体(授業、掃除、遊びなど)に差異が形成されている。この「指導タイプ」を、A.You must一学級関係統制・操作タイブ、B.We have to-学級関係受容・親和タイプ、C.I think-学級関係拡大・自律タイプと性格づけた。
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