これまでの研究成果を以下の三点に絞り報告する。 (1)学級のあり方や人間関係は、学級コミュニケーションのあり方によって左右される。そして、今日、学級コミュニケーションの「質」を規定している主要因は、教師の「ほめ方・叱り方」(何をどうほめ、どう叱るのか)なのである。これを教師の価値行為の規定的変容と性格づけたが、その条件は、「画一的な集団的指導から個に即した多様な指導への変容」「児童の自己主張の拡大と人間関係能力の未熟さによる軋礫の拡大」である。現在、教師は経験したことのない事態に直面し、それに即応した指導内容と方法を模索しているのである。 (2)「ほめる・叱る」を中心とする教師の価値行為は、学級指導に規則的な言語活動を形成しはじめている。この規則性をもつ言語活動を、指導メッセージおよび言語コードとした。指導メッセージは、You mustメッセージ、We have toメッセージ、I thinkメッセージに分類でき、言語コードの基本パターンは、善悪・依存コード、喜「怒」哀楽・困惑コード、受容・自律コードの三つに分類することができる。 (3)指導メッセージと言語コードの解析によって、教師は「指導タイプ」を形成しはじめており、使用する言語コードだけでなく、学級経営全体(授業、掃除、遊びなど)に差異が形成されている。この「指導タイプ」を、A.You must-学級関係統制・操作タイプ、B.We have to-学級関係受容・親和タイプ、C.I think-学級関係拡大・自律タイプと性格づけた。
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