介護ストレスの介入方法についての示唆を得るため、1997年11月に第1次調査として兵庫医科大学病院においてリハビリテーション部退院患者に、第2次調査として1999年3月に星ケ岡厚生年金病院において行った。調査より得られたデータを分析することにより、介護ストレスへの介入方法について次のような知見を得た。 (1)被介護者のストレスとして介護をしてくれる家族への負担感が大きく、介護を受けているという自分の状態について否定的に認知している。また介護者の方も介護をすることで拘束されていることが最も負担となっている。介護者と被介護者の閉じられた関係の中で、お互いが負担感を高めあっている。 (2)介護者がサポートとして必要としているのは、精神的な情緒サポートよりは具体的な手段的サポートである。手段的サポートとは実際の介護そのものの負担を軽減する資源である。 (3)介護者自身は介護負担の対処としては具体的な解決方法や援助を求めるというより、たとえば楽観的に考えたり、あきらめるというような認知の仕方すなわち状況への見方によって行っている。 (4)介護負担を軽減するためには最も有用だと考える現存のサービスが十分には利用されていない。 (5)サービスの有効な利用のためには、ソーシャルワーカの、連絡調整機能の専門性が利用者から理解される必要があり、そのことによって介護ストレスを軽減することは可能である。
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