今年度に行った研究によって得られた成果(知見や洞察等)について、以下箇条書きにてまとめる。 1.課題に関する基礎的概念規定関連の社会学的・宗教学的図書を集め、分析枠組みの基盤を形成した。 2.農山漁村社会における新しい信念体系の伝播・浸透・定着を扱った論文や報告書を収集することによって、これまでの先行研究を把握することができた。とくに、宗教地理学的な文献にあたることができた。 3.予備的調査として、日本聖公会福田聖公会(千葉県成田市)、ヤマギシ会東京事務所には、複数回の聴取り調査を行い、地域社会における伝播・浸透のプロセスを把握した。 4.予備的調査として、千葉県成田市と三重県飯南郡における1970年代以降の地域構造の変化とその要因を文献資料により把握した。 5.本調査として、三重県飯南郡の円応教教会、千葉県安房郡と成田市の日本聖公会教会の3事例について、そえぞれの教団を取り巻く在来文化=宗教のクライメートおよび70年代以降の変化状況を文献と実態調査によって把握した。 6.とくに、千葉県安房郡の安房大貫キリスト教会と成田市の福田聖公会において、前者は当該地域社会の全教会員世帯と複数の地域内世帯、後者においては全教会員世帯と大分部の地域内世帯で聴取り調査を行い、多くの資料を得た。 7.上記のインテンシブな調査により、農村社会におけるキリスト教会の定着と変容が、在来の先祖祭祀に代表される民俗事象を要因とすることが、大まかながら判明した。
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