平成9年度の実績報告書に示した本研究が意図している「問題意識(研究目的)」に沿って、平成11年度は主として北陸(富山県、岐阜県)、九州(大分県、宮崎県、鹿児島県)、および沖縄県の各県で主要社会指標の収集と整理を行った。また、都道府県市町村別の標準化死亡比(SMR)の算出(これには、人口動態調査<指定統計第5号を作成するための調査>を用いた)も併行して行った。さらに、昨年(平成11年)の夏以降、前年と同様学生の協力(バイト)により、これまでに収集した各都道府県市町村別の主要社会指標の整理を平成9年度、10年度に続き行ったが、この作業は平成12年年2月末現在で一部を残し終了した。 市町村別の自殺率について、平成9年度の報告で関東以北の一部の地域についての傾向を示したが、関東以西の一部の地域について今回検討することができた。そこには、低自殺率地域(奈良県、岡山県など)が分布している一方で、高自殺率地域(島根県、高知県、宮崎県、鹿児島県など)も数多く分布している。 これまでの筆者の研究から、海に面していない県(栃木県、群馬県、山梨県、長野県、岐阜県、奈良県)のうち、大半の県で自殺率が相対的に低くなっていること。この理由については、本研究の全体をまとめる中で明らかにしたい。さらに、高自殺率県(地域)では高齢者の自殺率が高くなっていること。以上の点は、自殺防止の方法を検討する上からも無視出来ない要因である。今後は、これらの点にも着目した分析結果を加え、本研究全体のまとめを次年度に向けて進めるが、本研究の「まとめ」は、予算の関係で自殺率からみて特徴的ないくつかの地域を中心に検討することとなる。
|