平成12年度は、本研究が最終年度のため、当初予定していてまだ収集出来ていない岐阜県、滋賀県、京都府、愛知県、福井県等において主要社会指標の資料収集と整理を行なった。また、平成11年度に続き都道府県市町村別の自殺の標準化死亡比(SMR)を算出し、自殺マップの作成と、報告書を作成した。なお、資料整理は主としてコンピューターに入力できるまでの資料整理が中心であった。さらに、主要社会指標の収集は全国38都道府県で行なったが、最終報告書には17県を対象にまとめることにした。その、理由は資料整理に多くの時間を要したこと。それに要する費用が当初の予算を遥かに越えたためである。もちろん、これらの貴重な資料は今年度末に提出する研究報告書とは別途にまとめることとする。全国47都道府県市町村別の自殺の標準化死亡比(SMR)を基礎とした「自殺マップ(昭和58年〜平成9年の15年間を対象」)は、貴重な資料となるはずである。全体の完成には、さらに2〜3年が必要で、次年度以降の課題として、継続研究を強く希望する次第である。さて、平成12年度は本研究のまとめを行なった。その結果明らかになった主要な事項は以下の通りである。各県に共通して見られる点は、第一に、自殺の標準化死亡比(SMR)は、都市部で低く、農山村部で高いこと。第二に、SMRと高い相関を有する指標を重回帰分析で抽出した結果、財政力指数は必ず負の相関がみられたこと。第三に、過疎化、高齢化に関連する指標がSMRと有意に関連する指標として多くの県で選択されたこと。第四に、自殺予防の面から考えると、特に農村での生活安定のための財政基盤の整備が緊急の課題になっていること。
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