研究概要 |
1997(平成9)年度においては、政策形成型住民参加によって環境政策の形成に取り組んでいる自治体の政策形成に参加協力するとともに、参与観察法によって、この手法の当面する問題点を調査した。中心対象は、神奈川県大磯町における「まちづくり環境問題研究会」であり、その中の「ごみ減量化・資源化推進調査研究会」と「環境基本条例策定研究会」にそれぞれコーディネーターとして参加した。 1997年度は全国的にダイオキシン問題の緊急化によりごみ問題が大きな関心を集めた。大磯町では緊急対策として、ペットボトルとプラスチックトレーの拠点回収の開始,プラスチックゴミの分別収集の開始,コンポスターの配布などを行った。これらの対策をふまえ、年度末に、「ごみ問題解決への提言」を研究会が取りまとめる過程に積極的に協力した。提言の骨子は、減量化、再資源化、安全化を理念として、全面的なリサイクルシステムの構築である。平行して「環境基本条例策定委員会」においては、「環境保全とまちづくりへの提言」をまとめたが、そのとりまとめにも積極的に協力した。この提言の骨子は、環境基本条例を基本枠組みとした上で、「地権者の立場を尊重した緑地保全政策」と「環境に調和した開発の実現と誘導」をセットにして推進するというものである。これらの政策の具体化の道を研究するとともに、政策形成型住民参加による環境政策形成の成否の条件を探究することが今後の課題である。
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