本研究では、高齢者の多様化した実態を明らかにするため、家族構成・性別・地域の差に視点をあて分析した。地域的には、親族世帯内の高齢者割合が全国で最も多い山形県を対象に直系家族内での高齢者の地位・役割とその要因について研究した。 現在、日本では65歳以上の高齢者の多くは、親康世帯内に所属している。高齢者の実態を明らかにするため、親族世帯内高齢者の実態を明らかにすることを試みた。本研究では、家族内高齢者割合の実態とその推移をさらに発展・展開した。 以上の視点から、以下の研究を実施した。 1. 高齢者がどのような世帯内に所属しているかの実態を既存の統計・資料・文献から整理した。 2. 家族内で高齢者がどのような地位におり、どのような役割を担っているかの実態を考察した。 3. 家族内で役割を担っている高齢者を対象に、どのような地位・役割であるかの実態を考察した。 4. 高齢者が家族内で役割を担うことによって、高齢者自身および彼らをとりまく家族や地域社会へどのような影響を与えているかを考察した。 分析の結果、家族内における高齢者の地位・役割は、子供夫婦や孫などと同居している高齢者ほど他の家族員の状況に影響を受けやすく、高齢者の家族内における地位と役割は主に次の7項目の状況に大きく影響を受けることが明らかになった。 1. 家族形態(ひとり暮らし、老夫婦、子供夫婦・孫と同居等) 2. 高齢者の健康度(病気、寝たきり、痴呆、病弱等) 3. 家族員の年齢、健康(育児、介護等を必要とする者の有無等) 4. 高齢者の社会参加活動状況 5. 高齢者の就業状況 6. 高齢者あるいは他の家族員の経済状況 7. 地域的・文化的特性
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