97年度は東北圏を中心に1都7県でインテンシブな調査を実施し、65歳から90歳にいたる24サンプルのデータを入手した。問題発見型の調査研究を展開し、その結果を踏まえ、98年度は仮説検証型の調査研究を展開する予定であったが、さらに多くのデータを集積して仮説の構築に臨んだほうがより精度の高い研究を行えると判断し、前年と同様の方法と様式で調査を実施し、東北を中心とする5県で59歳から81歳にいたる9サンプルのデータを入手。2年にわたる聞き取り調査の結果は以下のとおりである。 (1) 声の高い女性キャスターの言葉は聞き取りにくい。 (2) キャスターのアドリブはノイズとして認識される傾向がある。 (3) ニュースをわかりやすく説明するための模型やグラフや図はわずらわしいと思われる傾向がある。 (4) 早口でしゃべるキャスターは好ましく思われていない。 (5) テロップ、カット数が多いとわずらわしいと思われる傾向がある。 (6) 殺人事件など殺伐とした内容のトピックスには拒否的な反応を見せる傾向がある。 (7) 独居高齢者にとっては、バラエティもドラマも現代社会を捉えるニュースとして機能している。 本研究では、聞き取りの様子をすべてVTRに収録している。今後、映像素材のまとめ方を研究し、33サンプルのデータをDVDにまとめる予定である。
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