平成9年度は、東京都区部のうちとくに注目した中野区、豊島区、品川区、新宿区4区について調査を実施した。調査は計画の通り、(1)道路・歩道調査、鉄道調査、バス調査、建物調査について実施した。また、障害者のトリップ調査と危険体験調査については、平成9年度は新宿区のみ実施し、他の3区は現在継続中である。 まず、道路・歩道調査については、各区がモデル地区として取り組んだエリアの歩道の整備状況を調査し、バリアフリー化への取り組みの程度を評価し、また整備の方向の特徴について比較考察できる調査データをえることにつとめた。 鉄道調査およびバス調査については、各区の鉄道交通アクセス・バス交通アクセスの現状をつかみ、垂直移動対策や情報障害対策など各調査項目について、比較考察のためのデータをえた。鉄道やバスのバリアフリー化は、基礎的自治体要因よりも鉄道事業者・バス事業者要因のほうが大きいが、自治体の働きかけや費用負担の成果や、その地域で暮らす障害者の運動の成果として整備された側面もあるので、そうした観点から今後比較検討したい。 建物調査については、モデル地区内の公共施設を中心に調査データを収集した。さらに商業施設や大規模住宅施設などのデータをえた。各自治体が取り組んだ成果やハートビルの影響、さらには東京都の福祉のまちづくり条例の効果などを比較するデータがえられた。 障害者のトリップ調査や危険体験調査は現在進行中であるが、新宿区で調査が実施できた。今後調査を継続し、残りの市区の調査に取り組みたい。 基本的に計画通りに調査を実施できた。平成10年度は、データの検討を進め、新年度に残された調査を終了させ、研究成果の取りまとめをしたい。
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