研究課題/領域番号 |
09610231
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小出 達夫 北海道大学, 教育学部, 教授 (70001823)
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研究分担者 |
横井 敏郎 北海道大学, 教育学部, 助手 (40250401)
町井 輝久 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター, 教授 (60091500)
木村 保茂 北海道大学, 教育学部, 教授 (40003959)
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キーワード | 高等学校 / 教育改革 / 工業高校 / 公共性 / 地域連携 |
研究概要 |
1、「研究目的」に示した工業高校改革の二つの仮説、(1)地域連携の強化、(2)高等教育機関との接続の強化、については、その意義を実証しえた。 2、第2・3年度においては二つの仮説の正当性について、その根拠を現実の高校教育の進展の中に探った。 (1)北海道においては「地域連携」を重視する工業高校は美唄、函館、苫小牧の各工業高校に見られたが、一般的な傾向にはなっていない。教師の研修の場、生徒の現場実習の場としての地域の意義は組織化されていない。生徒の就職の場としても依然大企業志向が強く、地場の中小企業と共同して高校改革の展望を見いだす努力は少ない。「高等教育機関との接続」についてはその展望も見いだされていない。 (2)東京の都内、周辺地域の工業高校においても、同じことが言える。しかし、本所、蔵前、墨田の伝統的な工業高校において地域連携への志向が強まっており、大企業志向型の従来の在り方の克服が見られる。また江東地区の工業高校の再編プランや神奈川県の工業高校において高等教育機関への接続の意識的な取り組みがあり、そこでは専門科目を重視しつつ完成教育機関ではない工業高校の在り方が追求されている。 (3)北海道・東京いずれの場合もまだ改革の方向性は部分的で明確ではない。そこで我々は、仮説の立証をアメリカの高校改革に求め、オレゴン州を対象に、実証調査に入った。そこではとくにSchool to Work TransitionないしSchool to Carccr Transitionの動きや、高校生のインターンシップに注目し、2回の調査を実施した。結論的にいえば、ここでは地域連携と高等教育機関との接続の両方にわたって本格的な改革が始まっている。また我々のもう一つの仮説-高校改革には差異性(多様性)、平等性、公共性、責任性の4原理が必ず現れる-についてもこの地域で立証しうるところに至っている。
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