3年計画の初年度にあたり、これまで行ってなかった新しいタイプの校舎を持ちその教育実践がよく知られている愛知県卯の里小学校と岐阜県の池田小学校を参観した。そこで、校長から有益な話を聞けたほか、その校舎デザインを実地に体験し、ビデオカメラに記録した。また、福島県内の伊達中学校、白河市の第三小学校、五箇中学校を参観した。また三春町の岩江小学校、岩江中学校、桜中学校にも何度か参観した。さらに、こうした新しい校舎建築に対する建築学的な研究という意味で、東京都文京区の教育環境研究所を訪問し、研究所ディレクターである小山敏男氏から専門的な話を聞いたほか、東京のS区での校舎改築に関する区教育委員会の取り組みを紹介してもらい、学校建築と教育行政の接点に関する具体的な資料収集に成果があった。こうして、本研究を進めていくうえで基礎的な情報収集を重ねつつ、これまで既にえた知見をもとに研究方法を模索した。 このなかで、学習環境の効果を定量的にも把握するために、中学校の教科教室型校舎に一つの焦点を合わせ、三月に入って生徒へのアンケートを実施した。福島県内の中学校に限られるが、教科教室を持つ学校の一年生を対象にし、なお一般校舎を持つ中学校に協力を依頼し、比較のデータを得ることにした。なお、回収できる調査票は600を越す予定であり、集計は今後の仕事になる。アンケートには、自由記述欄を設けたので、集計に時間がかかるが、同時に中学生のナマの声が聞ける機会になったようである。アンケートは設問をシンプルにして(1)校舎で気に入っているところはどこか、(2)どんなときが気が休まるのかなどを聞いてたものである。ただ、生徒アンケート自体は、いまの中学生のむづかしさを反映してか、集計に手間取るような回答が目に付く。これは、次年度に集計しきって、当該校へ結果を還元したい。
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