1. わが国の場合、教育委員会・教育センター所管の研修が主導であった。大学院における中間指導者を主にした管理職養成的プログラムの開発によって、指導組織・運営面からの大学と教育委員会における協働関係が重要となってくる。この点、東京都における任用前研修は今後のあり方を考える上で示唆を得る。また、オープンな受験制度が確立されている場合は、任用前研修の充実を図ってもよいのではないだろうか。管理職になってからの職務の多忙を考えてみても肝要である。 2. アメリカ対象の研究として、校長職(学校管理職、school administrator)の免許・養成・研修制度を考察した。また一般教育の免許状更新・上進制、教育長の免許制度を資格要件の比較の視点から検討した。例えば、アメリカでは、すべての州が最初の校長免許状の取得として実質的に修士号あるいはそれ以上の専門教育を要求している。しかも校種によってこれらの要件が異なることはほとんどない。また修士号取得との関連にかかわりなく、教育行政・学校経営にかかわるコースを大学のカリキュラムで必修としている州が多くみられる。わが国でも研修休暇、休職制度の導入、従来の研究者養成大学院を含む全国的なレベルでの教育系大学院への入学の弾力化(パートタイム学生の受け入れ)、カリキュラムの弾力化(夕方・夜間講座)等を積極的に行う必要がある。実践的キャリアを十分に備え、しかも高度の研究能力を有した人材が、大学、研究機関に就くのがアメリカの特徴だからである。
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