本研究では、学校を単位とした「いじめ防止プログラム」策定の基礎的研究を、平成9年度、10年度の2年間にわたり、実施した。実施した研究の概要は、以下のとおりである。 第一に、これまでに報告された各種調査研究の分析により、いじめ防止プログラム作成に必要な情報の整理を行った。その結果、いじめ防止のためには、全学的な(教職員・PTA・児童生徒の)取り組みが必要なことが示唆された。さらに、その取り組みには、基本的なプログラムが必要なことや、適当なアドバイザーが必要なことが示唆された。 第二に、いじめ防止プログラム作成の基礎資料として、学校を単位としたいじめに対する対策の実態と意識を明らかにするために、愛媛県内の小・中学校を対象としたアンケート調査を実施した。(アンケート調査の項目は、ダン・オルウェーズのいじめ防止プログラムを参照し、作成した。)その結果、学校レベルのいじめ対策に関しては、それぞれの項目への期待度は大きいものの、その実施率は50%程度のものが多いこと。クラス・教師個人レベルのいじめ対策に関しては、実施率が高いこと。スキル訓練、カウンセラーへの相談など、専門的な領域でのいじめ対策では、期待度が大きいものの、その実施率は低いことなどが明らかにされ、全学的なプログラム作成の必要性が改めて明らかにされた。 なお、今後は、いじめ防止プログラムの作成とその臨床的調査を実施して行く予定である。
|