本稿の目的は、学校におけるいじめ防止プログラムの有効性を検討することにある。(なお、検討したいじめ防止プログラムは、ダン・オルウェーズ著『いじめ こうすれば防げる』を参照して作成した。) 愛媛県下の小・中学校に対して行ったアンケート調査の結果、明らかになったと思われる事項は、以下の通りである。 1、 学校レベルのいじめ対策に関しては、それぞれの項目への期待度は大きいものの、その実施率は50%程度のものが多い。 2、 クラス・教師個人レベルのいじめ対策に関しては、それぞれの項目への期待度も大きく、実施率も高い。 3、 スキル訓練、カウンセラーへの相談など、専門的な領域でのいじめ対策では、期待度が大きいものの、その実施率は低い。 4、 中学校は小学校に比べ、校内の環境改善、休み時間の監督など、物理的ないじめ対策に関する実施率がやや高い。 5、 転校などの緊急避難的な項目への期待度、実施率は極めて低い。 6、 小規模校においては、教師の目が行き届くため、いじめが生じにくいという回答が多く、したがって、多くの項目において、いじめ対策の実施度が中・大規模校の方が有意に大きい。 なお、さらに詳細な資料収集と分析は、今後の課題である。
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