1.フランスの父母団体は、その主義・主張によって多様な組織体を構成し、それぞれ独自の全国連盟を組織する特徴を有している。歴史的には古く20世紀の初頭にまでさかのぼることのできる父母団体もあり、これらの成立の背景には、一方で当時の多様な中等教育機関の存在、他方で公立教育機関とは厳然と区分された私学の存在があった。個別に分かれた父母団体が互いに競争しあう形でそれぞれの父母を組織化してきているが、公立学校の父母団体への加入は任意であるのに対して、私学のそれは大半がカトリック関係学校のため事実上全員加入方式をとっている。 2.父母団体はこれまで個別に存在し対立するものとして機能していた側面が強くあったが、はじめて1997年秋に複数の大きな規模の父母団体が責任者が一同に会して、教育問題について政府・行政機関に働きかけていく方向性を確認している。また、ヨーロッパ規模でも、すでに1985年以来「ヨーロッパ父母団体」(EPA)が発足し、各国から約70の組織が加盟し、精力的な活動をおこなっている。 3.全国連盟をもつ父母団体は、それぞれ学校教育のための数多くのガイドブックを作成し、父母への情報提供や相談機関としての役割を果たし、基本的に学校教育に関する問題と父母との関係について重要な機関となっている。他方で、様々な家庭教育鵜あるいは家族をめぐる問題については、保健省の外部機関としての家庭団体(UNFA)がむしろ重要な役割を果たしている。
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