1.本研究は、特色あるフランスの親の組織形態である父母団体に焦点をあて、それらの多様な活動が、学校の教育内容・方法の改善、学校の管理運営の民主化、家庭と学校の連携、家庭教育への各種援助などにおいて、どのように有効な役割を果たしているのか、を総合的に分析することにあった。申請書に明記した研究目的と計画に沿って、関連文献を収集整理し、代表的父母団体への訪問調査をおこない、研究レヴューを受け、また学会等で発表もおこなった。父母団体会員への意識調査は、方法論的な困難が生じたために実施することはできなかったが、3年間にわたって、所期の研究課題をおおむね果たすことができたと考える。 2.フランス父母団体は、その最初の団体の発足から約90年を経て、今日多くの多種多様な組織に分かれ、教育関係の圧力団体として、同時に親の意識を向上させる機関として、国からの補助金援助も受けつつ、広範な社会的認知を受け活動している。親の学校参加を支える重要な役割を果たし、ヨーロッパ規模での父母団体連合(EPA)の中でも、精力的でかつ特徴的な団体として注目されている。 3.本研究の一環として、下記の2つの重要参考資料を翻訳して発行し、関係研究機関からかなりの評価を受けている。特に【1!〇】は、「開かれた学校づくり」と学校評議員制度の設置が進められる今後のわが国の親の教育参加のあり方を展望する上で、極めて参考になる。(1)フランス「公教育の生徒の父母連盟」PEEP『生徒の親:あなたの権利のすべてあなたの義務のすべて』、(2)フランス教育行政担当者協会AFAE『フランスの教育制度と教育行政』。
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