研究概要 |
1,研究の最終段階である本年度は、前2年間の研究課題をより深めるとともに、ロシア=ソビエトの歴史、とくに乳幼児と保育の歴史において20世紀最初の30年間がもった意義・意味を多面的に明らかにした。それを土台に出生率の動向と育児支援対策の関連を幅広く考察・評価した。 2,研究課題を総合的に明らかにし、整理したうえで、つぎのように(a)国内外の関連学会で発表し、(b)邦語・英語の研究論文を公表した。(a)「初期ソビエトの保育に関する歴史的研究(6)」を日本保育学会で、"The Actual Image of Kindergarten in the 1926 Academic Year in Viatka in Soviet Russia"をMeeting of an International Study Group for the History of Early Childhood Educationで発表した。(b)すべて単著である「帝政末期のモスクワとペテルブルクの保育界の動向」「体制の転換と乳幼児の生存・養育環境」「保育時間を通してみた幼児の養育の『社会化』問題」「ロシア共和国における『全員就園・無償・国営』の保育制度構想(1917〜1928年)」"The History of Early Childhood Care and Education in Viatka,Soviet Russia,1918-1921"を著書・学会誌・研究紀要に発表し、「ロシアの乳幼児の保育の現在と過去」を2000年5月刊行予定の専門誌に掲載する。関連して近年の動向を論じた「モスクワの保育施設と保育者養成機関に関する報告(1998年)」を研究紀要に載せた。そのさいメルボルン大学現代ヨーロッパ研究センター(旧ソビエト・東欧研究センター)で受けたレビューが有益だった。最後に3年間の研究活動をまとめた、研究課題を題目とする報告書を作成し、国内外の関連機関に送付した。
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