研究概要 |
本年度の研究実施計画の通り,(1)主として研究主題に関わる研究文献・資料の蒐集と整理,および(2)この分野の研究を推進している研究者との情報交流,という二つの研究活動を次の手順で進めた。まず第1に,国内において入手可能な研究書・文献を,(A)ヨーロッパ家族史関係,(B)ヨーロッパ子ども史関係,(C)ヨーロッパ歴史人類学関係,(D)教育の社会史関係の4領域に区分して蒐集した。これらの4つの分野の基本的な研究書・文献類・論文集・資料集は,すでにこれまでの先行研究によって蒐集しているが,1980年代以降,各国で多様な個別テーマの研究が進められており、数千点にのぼる研究成果が存在する。そこで,3年計画の初年度に当たる本年度は,特に子ども観の変容を解明する上で有益と思われる文献を,それらの中から約140点以内に精選し,そのうち約70点を蒐集した。第2に,蒐集した文献の約半数については順次時代区分ごと,問題領域ごとにコンピュータに入力して,親子関係,教育意識,しつけ,子どもの死亡率,子ども数,出産数,家族規模などの基本概念(キーワード)ごとに検索可能な分権データにまとめ,残りを次年度に継続することとした。以上の作業には膨大な時間を要したため,数名のアルバイタ-(大学院生)による研究補助作業に対する謝金が増えた。第3に,イギリス教育史,フランス教育史,ドイツ教育史などの研究者から専門的な研究情報の提供を得るとともに,研究課題に関する専門的見地から助言を得た。そして,第4に,人口動態と家族の歴史人類学の研究方法については,イギリスの「ケンブリッジグループ(The Cambridge Group for the History of Population and Social Structure)」の研究成果をインターネットにより検索・入手し,また,アメリカのラトガ-ズ大学(J.R.Gillis教授)およびPrincetonUniv.(Lawrence Stone教授)を訪ね,研究計画のレビューを受けた。以上の活動によって,次年度以降の分析に必要な情報と枠組みが得られた。
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