1.計画にしたがい政令都市を訪問し、市立学校改革に関する調査及び補充調査を終えた。最終年度においては、地方分権化推進の流れの中で国・都道府県・市町村間の権限配分が法律上大きく改正される事態に遭遇したため、表記の主題の設定が一層重要性を帯びた。 2.地方分権一括法の施行(平成11年)により、中核市における県費負担教職員の研修は当該中核市の教育委員会が行うことになり(地教行法59条)、ようやく独自の教育行政権限を有することとなった。この結果、各市では特色ある研修の充実を図る一方で、府県が実施してきた研修のどこを取捨選択するかを検討中であるが、権限にふさわしい実施体制とそのための財政確保という課題に当面し、対策に苦慮しているところが少なくない。 3.政令都市が高校教育に関して特に重視している検討課題は、例外なく少子化問題であり、今後4〜5年から10年ほどの間に中学校卒業生の数が減少することにどのように対処するかということであった。その解決に向けて検討を行うために、各市ではそれぞれ、学識経験者、学校関係者、教育関係団体代表者、産業経済団体代表者、行政機関職員などから成る検討会議を設置し、今後の市立高校教育のあり方について審議し、答申やまとめにしたがって施策を講じている。 4.政令都市の中では、これまで特色ある学科、類型、コース、科目等の取組みが行われてきたが、ここにきて中核市の中で、総合学科・定時制単位制高校(岡山市)や併設型中高一貫校(秋田市)の設置が見られるようになった。これらが、地域の中にどのように位置づき、効果を上げるか注目されるところである。
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