研究概要 |
今年度の研究計画の第一は、文学学習につまづきのある児童数名にたいする縦断的な指導研究であった。これについては現在、埼玉県および都下の心身障害児学級において実験的指導を継続中である。実験的指導の中では子どものその時々の興味や能力に合わせて数種の教材ソフトの開発と試行も進められている。またFCAI(堀口、1995,1996)を用いて失語症者の動詞の理解や表出をうながすプログラムも作成された(高村ら、1998)。 第二の研究計画は、一連の読みに関する基礎的研究のまとめである。 これについては以下の内容を、すでに学会にて報告した(飯島ら、1997)。1)幼児の文字習得過程における「文字単語の音読」や「それに類似した文字列の読み」について音節や文字操作にかかわる能力を発達的な視点から検討するプログラムソフトの開発、2)このプログラムを用い健常幼児60名、発達障害児30名における読みの発達の資料収集。また、発達障害児に対し文字学習を生かした構音指導法の検討(飯高ら、1996)も継続中である。 関連する基礎研究としては1)健常幼児および障害児における特殊音節の読みと音にたいする意識の発達(佐藤ら、1997,1998)、2)中学校特殊学級在籍児童にたいする言語発達評価(崎原・飯高、1998)がある。前者においては、一部の発達障害児にとって特殊音節の読みの習得が、特殊音節にたいする意識を育てることが示唆された。後者は、文字学習の発達評価の背景となる考え方(飯高ら 1996)に基づき、中学校特殊学級在籍児童にたいする縦断的な言語発達評価を行い、彼らの文字学習や言語生活を豊かにするための研究である。
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