京都府船井郡6町で行われる生涯スポーツについて、参加者と提供者(行政)との双方向の評価を実証的に検討する本研究において、今年度は行政による評価を明らかにするため、各町の生涯スポーツ担当者に対するアンケート調査を行った。 その結果、全国の市町村の中には「生涯学習法」第5条の「生涯学習振興基本構想」に準ずる「基本構想」を任意に定めるものがあるが、調査対象町の場合、そうした「基本構想」を持つものはなかった。したがって、地方自治法第5条第5項による「総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想」に基づく生涯スポーツと「社会教育法」第17条第1項1号による「社会教育計画」に組み込まれた生涯スポーツが中心的に行われている。そうした生涯スポーツには、国体を契機にした町内外を問わない参加者を募る「6人制ホッケ-大会」から高齢者向けの軽スポーツ、さらには伝統的な地区運動会まで含まれる。アンケート結果の特徴的なものは、 1.全ての町でライフステージごとに整理、体系化した生涯スポーツを推進する基本構想の必要性を認めている。 2.全ての町で現行のスポーツ事業は住民のスポーツ要求を充足させる点で十分ではないと考えている。 3.全ての町で生涯スポーツ事業を評価する行政指標の必要性を認めている。 4.実際に生涯スポーツ事業を評価するに当たっては、(1)参加者の満足度、(2)事業目的の達成、等が指標に用いられており、(3)参加者数、や(4)予算の執行具合、は必ずしも評価の指標にはなっていない。 5.生涯スポーツ事業の評価に当たって、参加者や関係団体、指導者の事業評価を考慮する必要は認められており、また実際それを行う町もある。
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