本研究では学校に集中していた特別活動の領域を地域と連携あるいは統合してゆく移行過程にあるととらえ、その移行形態を4様態として仮説している。 平成9年度には、各様態はいかなる地域条件下で選択されるかを検討した。 方法は、1)都道府県の学校教育および生涯学習計画・社会教育、さらに都市計画に関わる資料文献を収集し、比較的広域にわたる教育政策の策定・実施状況を検討した。対象は、北海道、宮城県、福島県、千葉県、東京都、三重県、宮崎県などを中心とし、必要な資料は入手できるものは複写・デジタル化し、その他は郵送での提供を依頼している。 学校教育の「地域への開き」と社会教育からの「学社連携・融合」の政策理念は特別活動の地域社会への移行を促すプッシュ要因として作用し、都道府県レベルでは政策課題として認識し計画を策定し、市町村にその推進を勧奨している。 しかし、市町村レベルではその計画策定、実施形態、資料整備状況はさまざまである。 2)そこで、このような特別活動の移行過程の多様性をもたらす要因を地域特性にもとめ、地域の類型化を試みた。まず、県ごとに市町村レベルの特別活動の取り扱いについて事例資料を収集し、クラブ・部活動、校外学習の実施状況を検討・類型化するとともに、児童・生徒数、地域の施設・設備の現有状況と将来計画、地域事業とその展開、その他の地域特性を変数として地域類型化の作業を行い、その有効性を検討してきた。 3)地方中核都市を抽出し、訪問して資料収集と聞き取り調査を行った。訪問したのは北海道苫小牧市、新潟県新潟市、千葉県松戸市、東京都足立区、三重県伊勢市である。また、松戸市と足立区では子どもの学校外生活の実態を把握するために幼児から小学生を対象に調査を行った。松戸調査については聖徳大学児童学研究所の活動と連携して実施した。
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