本研究は、研究目的に則して研究代表者によって平成9年度〜平成10年度の2カ年に亙って実施され、平成9年度にアメリカ連邦教育省教育研究・改善部局(OERI)及び全米州教育委員会(ECS)の2カ所を訪問して、本研究計画のレビューを受けた.平成10年度には、前年度に収集した文献資料の分析・研究及び研究計画のレビューの結果を継続発展させ、その考察検討の結果を研究成果報告書としてまとめた.その研究成果を要約すると、1.別掲論文でコア・カリキュラムの基本的な理念と沿革を明らかにし、中心教科、共通必修及び統合の3つのコアの類型について分析した.2.本研究論文では、先ず第一に職業を中心とする統合コアの歴史的背景をたどり、1970年代に展開されたキャリア教育との対比で、1990年修正のパーキンズ職業教育法制定以後の連邦教育省の職業教育政策の理論とその骨格を明らかにし、統合政策の影響を究明した。3.第二にアカデミックな教科と職業教科との統合の内容的な構成と特徴を8つのアプローチの類型別に明らかにし、さらに1994年制定の「就学から就職への機会保証法」で規定された3つの学習モデルの各々の構成要素から、教科統合の枠組みを分析検討した。4.第三に各々の学習モデルに基づく教科の統合の実践事例、即ち学校モデルとしてキャリア・アカデミーを、仕事を基盤とする新しい試みである認知的な見習補習訓練(cognitive apprenticeship)を、両者の結合モデルでは、ボーイ・スカウトのLearning for Lifeを取り上げ、各々の評価と問題点を究明した.5.本研究で得られた新しい知見として、「職業キャリア教育の復活」で示されるように、すべての生徒に進学と就職の機会を保証し、職業技能、アカデミックな技能及び雇用可能技能を統合する統合コアの実状を知り得た点である.
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