研究課題/領域番号 |
09610310
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
成澤 勝 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00180539)
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研究分担者 |
浅野 春二 国学院短期大学, 国文科, 専任講師 (30289714)
丸山 宏 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (00229626)
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キーワード | 身体の表象 / 社会の表象 / 朝鮮仮面 / 道教儀礼 / 死者の身体イメージ / 儀礼空間 / 犠牲 / 供物 |
研究概要 |
本研究は、東アジアの社会において歴史的に形成されてきた豊かな儀礼と芸能の伝統の中で、生きた儀礼空間や舞台空間に出現する多種多様で意味深い身体のイメージを研究対象とした。儀礼や芸能に見られる身体の表象は、近代的な医学的身体論では論じ尽くすことができず、東アジア独自の宗教的、演劇的、社会的意義の観点から十分に考察をする必要があるという共通認識を持った。研究に際しては、生物学的な限定を受ける自然的身体観と、類型化された権能や個性を表す社会的身体観の間の相互関係と相互矛盾を重視した。こうしたテーマ設定の下に、それぞれの専門分野の知見を活かし、実証的なデータに拠りつつ立論することを試みた。 成澤は、朝鮮仮面劇の歴史的変遷を検証しながら、仮面の表象する意味について、チベット、中国、その他世界各地の事例との異同を研究した。また独自の資料解釈の視点から、古代日本への大陸系、朝鮮系の仮面戯劇の伝播の実態に関して新しい見解を示した。丸山は、主に宋から明の道教式の死者儀礼の中に見られる死者の身体の表象を追究した。この伝統においては、屍、位牌、死者の人形などの幅のある表象を巧みに意味付けて使うことを示した。納西や〓などの民族の事例との類同性も考察した。浅野は、犠牲と供物の身体性を中心課題とし、儀礼空間の問題も検討した。台湾の道教の資料から出発しつつ、東アジアにおける犠牲の身体性、精神性について、儒教をふくめた祭祀の根本問題を扱い得る視座の確立に努めた。 木年度は合計4回の研究会を行ったほか、成果の一部を報告書にまとめた。
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