本年度は新しい文化との接触・移入によるプロセス、同化のプロセスの実態とその要因の解明にむけて、文献調査、聞きとり調査を中心に研究を進めた。特に本年度は平成9年度から3年計画で始めた最終年度であるので、過去2年間にわたっての研究から明らかになった基礎的データの整理とより精密な分析、その妥当性を検証するための実地調査に主力を注いだ。以下、それぞれの課題とその成果を要約する。 課題1.異なったエスニシティとの出会い: 異なった土地から最初の定住者の出現をへて、日本人の移住者、米軍による統治、欧米系島民の帰島、返還と返還後の在来島民、新島民、旧島民による社会形成の様相とアイデンティティ 課題2.言語接触と言語文化: 共通語を持たない人々の間、母語を異にしている人々の間での伝達と言語生活の特徴 課題3.島に伝わる民謡: 南洋諸島、八丈島から伝来されたもの、父島独自のもの 課題4.衣・食・住の生活文化:異文化接触による影響と父島独自の文化の創造 課題5.伝統的年中行事:島に伝わる古くからの年中行事、その起源と社会的位置づけ、およびその社会的意義
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