研究概要 |
1.アイヌ民族に関する報道記事等を網羅的に収集(日本資料通信社に業務委託)し、内容を分析・評価した。必要に応じて、国立民族学博物館、アジア太平洋資料センター、国連先住民族の10年連絡会、シサムの会、北海道ウタリ協会等を通じ、事実関係を確認し、関連資料を入手した。今年度分、約1,900点の資料をあつかい、うち1,519点(新聞記事1,329、雑誌記事179、その他11)について下記2.の要領で簡易データベース化した。 2.分析情報(キーワード、地域分類、主題分類、書誌情報、資料評点、同報記事指定など)は、前年度までの先行研究で構築したデータベースに追加入力し、評価・選別のためのインターフェイスを新しく設計した。ファイル容量は8.7MB(DD圧縮モードで4.2MB)。主要資料(約900件)についてはハードコピーを主題分類420項目に応じてファイリングした。 3.主要資料およびコメントを、情報収集に協力して下さる団体・個人に定期的に提供し、相方向的な資料批判・評価を重ねた。これによって得られた追加情報をデータベースに入力した。 4.当初、評価選別した資料をインターネット上で直接公開することも計画していたが、報道機関等と協議したところ著作権法上の問題があることが判明したため、当面、目録公開のみを準備し、また分析情報データベースファイル自体をホームページ上で公開する方途を検討する(要請があれば、光磁気ディスク媒体でのファイル提供も可能)。 5.本年度は、二風谷ダム訴訟の判決およびアイヌ文化振興法の制定という大きな出来事があり、これらに関する資料が多かった。地方紙の積極的な論評が目立つ一方、「先住権」問題の踏み込んだ議論はまだ不足している。振興法については、日本人識者や市民運動側からの批判的論評が先行し、アイヌ民族側はむしろ同法の施行実態を静観する傾向にある。今後これがどう変化していくかが、来年度以降の資料分析において最も留意すべき点となろう。
|