研究概要 |
1.アイヌ民族に関する報道論説を体系的に収集・整理・分析した。収集基準は昨年度に準じ、日本資料通信社・アイヌ文化交流センター・シサムの会その他を通じ資料入手した。資料内容を分析し、キーワード、主題分類、執筆者分類、媒体分類、地域分類、資料評点、教材適性、見出し分析情報などを付加し、データベースを更新した。今年度分868点(新聞記事828、雑誌記事36、その他1)を入力処理し、資料評点v=3以上のもの(648件)は、ハードコピーを主題分類430項目に応じてファイリングした。昨年度までの資料とあわせて累積件数は14,512件(12MB)となった。 2.アイヌ文化振興法施行3年めに入り、マスコミの注目度は低下したが、アイヌ民族文化公園構想をめぐる各地の動き(資料990606v2ほか約20件)、旧土人保護法下の「共有財産」をめぐる訴訟(991223v1ほか約60件)など重要な動きが見られた。道外地方紙での扱いが減少し、道内地域版の細やかな取材と論評が秀でる傾向がみられた。 3.白老や旭川の「クマ送り」復活、白老の船降ろし復活など、各地での伝統儀礼復興の動向や背景をマスメディアは丹念に記録している。エゾシカ追い込み猟の復興運動の定着もこの流れの一環として報道されている。一方で、海外での動きに関する報道は極端に減少しており、国連における先住民族常設フォーラムの設置をめぐる議論など重要な動きに関する報道が薄弱であった。大成功をおさめたスミソニアン博物館のアイヌ展(990820v2ほか約20件)へのマスメディアの注目も不当に低かった。 4.楽器復興の試みに展開が見られ、報道も多かった。記事としての紹介は少ないが、染色工芸における着実な活動、地名復興運動の進展、チプによる宗谷海峡横断の試みなどは、今後の政策対応において注目すべき領域となろう。
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