研究課題
基盤研究(C)
今年度は、東北大学附属図書館の調査から始めた。それが中程に進行した段階で、岩手県水沢私立図書館・東京都内閣文庫・北海道大学付属図書館北方資料室の調査を行って、より一層の拡充を目指した。調査にあたっては、研究分担者のほか、2名の調査員(大学院生のアルバイト)を投入することができた。調査の期間は10月上旬から翌3月初めまでの50日余りであった。最初に取りかかった東北大学附属図書館には、狩野文庫の大コレクションがあり、1000点余りの関連資料があることが判明した。歴史・地理・地図・日記・旅行記・随筆・文書・書簡等、北方交流史にかかわあらゆるジャンルにわたる基本資料が網羅的に収集されていること鮮明になった。驚くべき発見である。そればかりではない。狩野文庫のなかには、函館奉行杉浦兵庫頭書留・函府人名録・根室県地図など、他に写本類を見ないオリジナルな資料(原本)が20点余り存在していることが明らかになった。内閣文庫・北方資料室などの調査によって、それを確認することができた。狩野文庫の写本類についても、良質のものが選択的に収集されていることを確認することができた。ただし、今年度の調査では、狩野文庫本の半数近くにしか当たることができなかった。来年度に継続することが必要である。水沢市立図書館では、仙台藩による蝦夷地防備にかかわる資料30点余りを発見することができた。蝦夷地にかかわる大絵図にも注目すべきものがあった。仙台市立博物館・宮城県立図書館などにも、同様な資料が収蔵されているに違いない。いずれにしても、これからが正念場である。調査のピッチをあげなければならない。
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