(1) 茨城県内における調査では、平成9年度に実施した自治体史の刊行状況調査および同資料集所収の戦争資料の目録化をふまえ、資料の所在・保存状況の調査をおこなった。具体的には、自治体史の刊行状況について茨城県立図書館、同歴史館などで補充調査を実施し、戦争に関する記述を調査するとともに、実際に各自治体を訪問し、資料保存の現状を調査した。このほか、陸上自衛隊施設学校内の防衛館では、(財)茨城県郷土部隊史料保存会の所蔵史料について目録を作成し、あわせて貴重資料の撮影をおこなった。 また、日立市において、戦争体験者の聞き取り調査を実施した。 (2) 県外調査では、昨年度に引き続き、防衛庁防衛研究所図書館、国立公文書館における資料所在調査をはじめ、地域のあるべき戦争資料館の姿をさぐるため、全国各地の平和資料館・博物館を実地調査した。調査にあたっては、展示施設の見学のみならず、資料の分類、保存方法等についても研究した。このことは、本研究が、旧来の文書学の範疇ではあつかいきれない「戦争資料」というものについて、いかなる整理・保存が可能なのか展望することを研究目的の一つとしているからにほかならない。 (3) 本年度が最終年度に該当することをふまえ、研究成果報告書を作成した。同書には、調査報告二本(「茨城郷土部隊資料館の所蔵資料について」「自治体史編纂・刊行状況及び戦時生活資料等の調査報告」)、研究論文二本(「戦時生活資料としてのライフ・ヒストリー」「地域の平和資料館はいかにあるべきか」および資料「茨城県内自治体史編纂状況」「茨城県内自治体史刊行物内容」を収録した。
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