研究概要 |
1,オランダ語史料(松井担当):「バタフィア発信書翰控簿」のうち主に17世紀後半を中心に、必要部分については焼付を作成し、目録カードの作成、ワークシート化を進めた。現在のところ文書番号とページ、作成年月日、宛先と文書形態を主なキ-項目とし、記載状況に応じ受取人、経由地、経由船、仲介者等の情報を加えた形でデータベースとしての蓄積を行ないつつ、研究上の検索に実際に用いる中で使い勝手を検討している。また、既刊『日本関係海外史料目録』の記載方法、蒐集内容について検討を行ない、特に日本関係の史料について、異本の相互関係や蒐集欠落部分の確認作業に着手した。次年度以降、まず「オランダ商館長日記」の異本蒐集欠落分の補充を考えている。 2,南欧語史料(五野井・浅見担当):アジュダ図書館(ポルトガル・リスボン市)所蔵の写本集「アジアのイエズス会士」について、史料編纂所が東洋文庫から購入したマイクロフィルムの整理作業を行なった。その中で、16世紀の後半から17世紀前半を中心とした時期の日本・中国・東南アジアからの報告などを集めた部分について、本年度は所蔵番号49-IV-51〜56を対象に文書一点ずつの詳細目録を作成し、同49-V-14については、目録化の準備として写真焼付を作成した。当該部分は収録年代、地域に広がりがあるため、焼付・一点毎目録作成により研究のための利用が格段に促進されると考えられる。この作業は来年度以降も継続予定である。 3,目録化・データベース化の方針・形態の検討:初年度は個々の史料の目録化・データベース化を中心としつつ、その利用経験を蓄積していくことを主要な課題とした。当該時期の欧文各語史料に共通する綴字の不統一の処理、また簿冊単位、簿冊内の文書一点毎、さらにその附属文書という重層的な構造のものと、単純なものという史料群の個性をどう扱うかなど、今後更に検討を重ねる必要がある。
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