研究概要 |
1,岐阜県内の出土文字資料の収集のため、県内各地に出張し、各務原市において30点近い墨書土器の検討を行ったのをはじめ、関市においては30点余の刻字土器、古川町では50点余の墨書土器、恵那市においては10点の墨書土器、国府町でも数点の墨書土器の調査、検討を行った。 2,国立歴史民俗博物館、東京国立博物館、斎宮歴史博物館、長野県歴史館等において、実際に、墨書土器などの古代の文字資料を閲覧、調査し、その釈読方法について検討した。 3,古代地方史関係の文献を収集し、関連研究成果を検討するとともに、岐阜県内および周辺地域の遺跡を実地調査を行った。また関連学会に参加し、各地の博物館等における展示を見学し、現段階における古代出土文字研究の水準を考察した。 4,以上の作業を行いながら、岐阜県下の出土文字の集成作業を遂行し、ほぼ140点にのぼる文字資料の釈読を終了した。 5,その結果、時期的には7世紀末から10世紀にわたる墨書・刻字土器が県内各地に出土しており、しかもそれらは官衙関連遺跡だけではなく、集落からも出ている事実が判明した。多くは、8世紀末以降の、一文字、二文字だけのものであるが、なかには官営工房の存在を示唆する墨書・刻字の資料も見出すことができ(関市下有知遺跡等)、国郡支配下の在地の状況を知る有力な手がかりとなった。 6,その成果の一部は、研究者向けの講演、研究発表等で報告している。
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