本研究は、徳川秀忠・徳川家光関係文書を収集し、その集めえた文書をデータベース化することを第一の目的とし、そこから当該期の将軍権力の歴史的特質と日本近世の政治機構・組織の形成過程を明らかにすることを次なる目的としている。 本年度は、未調査であった防府毛利博物館蔵の毛利家文書、土佐山内家宝物資料館蔵の山内家文書中の徳川秀忠・徳川家光関係文書を調査・撮影し、昨年度作成した秀忠・家光の武家宛ての領知宛行状と家光の御内書のデータベースに補った。さらにこれまで収集した公家宛の領知宛行状、寺社宛の領知宛行状、禅僧への公帖などのデータベースを作成した。 具体的な分析としては、家光の花押を据えた文書のうち、将軍就任までの文書について検討を加え、元和6年から元和9年までの家光の花押の変遷を確定し、かつ花押の変遷が年号を付さない文書の年代推定の有力な手段であることを明らかにした。その成果は、「徳川家光花押文書の研究(上)」 (『京都大学文学部紀要』38号)として発表予定である。
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