1. 長崎県立図書館および九州大学文化史研究所所蔵の長崎貿易関係史料のうち糸割符仲間由緒書、抜荷関係史料の調査・撮影を行い、また財団法人三井文庫所蔵の長崎貿易関係史料の調査・複写を行い、従来の17・18世紀を中心とする視点の研究に対して、18・19世紀における糸割符宿老による輸入品(正銘物)の正規の流通とそれに対する抜荷(不正物)の流通に関する史料を収集し、分析を行った。 2. 大村市立史料館所蔵の峰家史料の調査・撮影を行い、18・19世紀の長崎会所貿易における銅・人参などの輸出品に関する史料を収集した。 3. 東京大学史料編纂所所所蔵のオランダ商館文書マイクロフィルムについて、1800年から1813年までの商品有高帳(物品出納簿)・現金出納帳・総勘定元帳の複写を行い、19世紀初期におけるる単一仕訳帳制から分割仕訳帳制への帳簿システムの変化について分析を行った。 4. 同じくオランダ商館文書マイクロフィルムについて、1773年から1808年までの仕訳帳.元帳により、江戸・長崎における贈物・賃金の諸経費についての基礎的データを集計した。また1818年から1850年までの物品出納簿・当座勘定簿により輸入品仕入高・輸入品総売却高・輸出品仕入高・江戸参府費用についての基礎的データを集計した。 5. ライデン大学国際アジア研究所(IIAS)主催の専門家会議において、これらの研究の一部を報告した。
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