1.今年度の問題点と実情 平成9年度の目標であった平安時代までの編年史料カード作成件数は2月末日現在で約160件程で、当初の計画からすると量的な課題をクリアしたとは言えない。その原因として以下の点が挙げられる。第一に史料分類段階において、伝承性の強い史料を採用すべきか否かで迷ったこと。第二にパソコン入力の項目内容を十数次にわたって改変したこと。第三に一歴史事象に対して予想を超える史料件数があり、史料カード1件の作成にかなりの時間を要したことである。 次に作成した史料カードを各項目(和暦・西暦・月日・綱文・出典・人名・地名・件名)ごとに入力した。実際の方法は、最初にパソコンソフト「ファイルメーカー・プロ」を利用して上記項目ごとに入力し、そのデータをパソコンソフト「エクセル」に移動して編年順列化した。 2.研究の成果 熱田社権宮司田島氏の系図「田島丹波系図」を分析した成果を、第51回神道宗教学会学術大会で口頭報告した。本系図は写しではあるが中世の古系図とみられ、その後の田島氏の系図とは異なり女性を含む一族の範囲を示したものと評価できる。なお論文として執筆中で、「日本学研究」に投稿予定。 3.次年度以降の研究 (1)編年史料カードの作成方針が確定しているので、次年度以降は平安時代までの残部史料の入力を速やかに達成し、鎌倉時代のカード作成・入力化を目指す。 (2)第32回軍事史学会大会で「平治の乱と熱田社」(仮題)を口頭報告する。 (3)史料カードに貼付した史料そのものをスキャナーを用いてテキストファイル化することを検討したい。 これは将来の編年史料集作成に関わる問題なので、熱田神宮当局と慎重に協議する予定でいる。
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