1、今年度の現状と問題点 平成11年度の目標であった鎌倉・室町時代までの編年史料カードを作成、なかでも熱田神宮熱田文庫の厚意によって、刀剣類の奉納年月日を調査できたことは大きな成果であった。これらのカードを規定の各項目に従ってパソコンに入力し、3月15日現在で総数約800件に達した。また『愛知県史』資料編6の刊行により、古代関係の史料を補足蒐集することができた。 なお検討課題の一つであったカード貼付史料のテキストファイル化は、スキャナーの精度を勘案して断念することにした。したがって本研究の将来目標である『古代・中世熱田社基礎編年史料集』(仮題)の作成・出版についての準備作業として、カード貼付史料のパソコン入力をすすめた。 そのためには人的支援が相当数必要となり、謝金の見直しを余儀なくされた。 2、研究の成果 熱田大宮司の発給文書と補任形態を問題として、「中世熱田大宮司に関する一、二の問題」を第3回日本宗教文化史学会大会において口頭報告した。このテーマは分割して投稿しており、そのうち一本は平成12年5月に刊行される。他の一本は平成13年刊行の上横手雅敬先生古希記念論文集(仮称)に収載される。 また論文として「熱田惣検校尾張宿禰家譜(馬場氏家譜)について」を公表した。これで熱田社の主な系図類の検討をすべて完了した。 3、最終年度の目標 熱田神宮への奉納物のうち奉納年月日が明らかな品物(刀剣を除く工芸品など)の調査、および全時代にわたっての史料再調査を行い、史料網文の整理をはかり、史料年表(綱文のみ)を完成する。同時に史料集刊行の準備作業として、学生の支援を得て史料本文のパソコン入力をすすめる。
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