研究概要 |
1.今年度の現況 熱田神宮への奉納物のうち奉納年月日が明らかな物品(刀剣を除く工芸品など)の調査、および全時代にわたっての史料再調査を行い、史料綱文の整理をはかり、史料年表(綱文のみ)を完成させた。同時に史料集刊行の準備作業として、学生の支援を得て史料本文のパソコン入力をすすめた。この4年間でカード件数約1,000件、総数2,500枚となり、古代中世熱田社に関する基本的史料を一応揃えることはできた。しかし一方では確認できなかった史料の存在もあり、網羅的調査ができたとは到底言い難い。したがって継続的な史料蒐集の必要性を痛感している。なお本研究課題の報告書とは別途に、史料年表部分については学術誌上で公開する予定でいる。 研究成果としては「正和五年熱田社領注進状について」を第49回神道史学会大会で口頭報告し、裏面の論文2本を公表した。 2.今後の課題 本研究は『史料綜覧』的なもので、史料検索上一定の目安とはなるものの、史料そのもの、とくに活字化されていない史料を直接利用できるものではない。またパソコン上での地名・人名・項目検索についても、該当史料名とその年代を知ることはできるが、やはり飛躍的な利便性をもつとは言い難い。そこで第一に史料カードに貼付した史料原文および蒐集漏れの史料を編年史料集として活字化すること、第二に史料そのものをデータベース化して全文検索を可能にすることの二点を次の目標に掲げた。現在すでに史料原文のパソコン入力を開始しており、次年度以降の科学研究費補助金申請とした次第である。
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