本年度は昨年度の事前調査に基づき、アメリカ空軍歴史調査部(マックスウェル空軍基地内)およびアメリカ国立公文書館(メリーランド州カレッジパーク)に所蔵されている日本空爆の報告書及び、空爆のおこなった空軍の航空団、航空群、航空部隊などが発行した記念誌を収集した。また、これに関連してアメリカ国立公文書館映像資料部門が所蔵している日本空襲関係の映像や、アメリカ議会図書館地理・地図室が所蔵する日本空襲前の偵察分析資料の調査および収集をおこなった。 これらの調査・収集資料に基づき、分析研究をおこない、アメリカの戦略爆撃における新たな知見として得た点は次の通りである。 アメリカ軍の戦略爆撃が、事前に対象目標に対する十分な調査分析によって立てられた計画に基づき実施されていたことである。これはアメリカ議会図書館に所蔵されているTARGET INTELLIGENCE JAPANESE WARの分析による。従来の研究が戦略爆撃調査団の報告書や戦術作戦任務報告といった爆撃終了後の報告書を中心におこなわれてきたことに対し、今回は空爆以前の事前偵察がどのようにおこなわれ、そして、ターゲットがどのように選択されたのかを、戦術作戦任務報告と対応させながら分析したことに特徴がある。 また、1944年の沖縄へのアメリカ軍の空爆が、翌年の本土への本格的空爆へとつながりうる点については、今後に調査研究を必要とする事が判明した。
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