本研究は、太平洋戦争末期にアメリカ合衆国が日本に対して実施した空爆について、その戦略的な意味を明らかにすることである。 このために平成9年度と10年度は、アメリカ合衆国内にある日本空襲関係の資料の所在を調査し、可能な範囲で資料の収集を実施した。とりわけこれまで日本人研究者による資料調査が積極的に実施されてこなかった合衆国空軍歴史調査部(マックスウェル空軍基地、アラバマ州)と合衆国空軍博物館(ライト・パターソン空軍基地、オハイオ州)を中心に所蔵資料の調査を実施した。さらにワシントンD.C.にある議会図書館や国立公文書館の所蔵資料についてもインタネーットによる資料検索を実施した。さらに日本国内にも、アメリカ合衆国による日本空襲関係の資料が収集されておりそれらの把握にも努めた。 以上の調査をもとに収集資料の分析を進めたが、資料収集作業の遅れなどにより平成10年度末までに成果報告を提出することが困難になったため、次年度中の成果報告書提出期限の延期を願い出た。 平成11年度は成果報告書のまとめの作業を実施した。その結果、アメリカ軍の戦略爆撃に、日本本土および支配地域に対する詳細な偵察活動を基本とした爆撃地点の効果予想など様々な分析を事前に実施した上で、日本空襲を実施したことが大きな特徴であることが判明した。しかし、沖縄空襲とその後の本土空襲の関係について十分な分析が出来なかったことは、今後の課題の一つである。
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