研究概要 |
本研究では、中東におけるイスラーム化と社会変容に関して、2つのレベルで研究を進めた。第1は、アッパース朝時代のジャジーラ地方という時代的・地域的に限定した集中的な研究であり、このテーマに関してはアラビア語・シリア語の史料の検討と分析・考察を中心に研究を遂行し、その成果は3回の学会及び研究会発表と学術雑誌への投稿によって研究代表者によって公表された(詳細は,研究成果報告書冊子体参照)。 論文:「アッバース朝初期の地方行政と徴税制度-『ズクニーン修道院年代記』を中心として-」 口頭発表: 1.THE SYRIAN CHRISTIAN COMMUNITY AND SOCIO-POLITICAL CHANGES IN THE EARLY ISLAMIC PERIOD' 2.「アッバース朝時代の地方統制と反政府運動-Nasr b.Shabath al-Uqayliの反乱を中心として-」 3.「イスラーム支配下のキリスト教徒に関する研究の近年の研究動向」 第2のレベルでは、中東のイスラーム化と社会変容に関する総合的な研究を念頭に置き、将来的に第1の専門研究との比較検討を行うために、エジプト・シリア・パレステイナにおけるイスラーム化にアプローチするための準備的作業と基礎研究を行った。史料及び研究文献の収集を行うと共に、これらの地域の現地研究者との交流を深め、現地における研究状況を把握することに努めた。さらに収集した先行研究の検討を行ったが、今後もそれを継続し、さらにコプト語等の史料研究に進みたいと考えている。 以上のような2つのレベルで本研究は進められたが、特に第2のレベルの文献収集はまだ不十分な段階で終わった。この仕事は今後別の研究計画を立てて進めて行くつもりである。
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