研究概要 |
研究目的に記した(1)北方民族の中国への流入,(2)中国南方の非漢民族,(3)古代朝鮮,日本への中国文化の影響のうち,(1)については,従来の研究代表者の研究を集大成し,それと,ウィットフォーゲルの研究にはじまる所謂征服王朝,浸透王朝論との関連について具体的に明らかにした.(2)については,今年度は四川省における民族問題について追求し,それを魏晋時代,王胡十六国南北朝時代,唐宋時代の三期にわけて考察し,当該時代における各民族の存在形態,王朝支配の実態,中国化の実態等を明らかにした.とりわけ従来ほとんど考察の対象とされなかった〓族の動向のもつ重大性,及びその具体的存在形態,王朝支配との関連等について網羅的に明らかにした.(5)については,天朝時代における東アジア,北アジアにおける民族移動が朝鮮,日本に及んだ際,中国人,あるいは中国系渡来人の果した役割を明らかにし,また所謂中華意識の形成という問題に関し,王朝十六国北朝における中華意識の形成が,朝鮮,日本におけるその先駆けとなったこと,そこの中国における中華思想の受容の問題がからむことなどを明らかにした. こうした研究実績を学会誌等に発表すると共に『魏晋南北朝時代における民族問題』と題して著書にまとめ,また11月2日の中世史研究会、12月19日の中国史学会で発表した.
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