研究概要 |
本研究の目的は、清の属国の朝鮮が日清戦争によって清から独立し、清と対等な国際関係を樹立する前後の過程の課題を明らかにすることにあった。 1880年代になって、清は属国の朝鮮を維持するために朝鮮に欧米へ開国させた(いわゆる「両截体制」の成立)。清のこの対朝鮮政策を理論的に推進したのは清の黄遵憲の『朝鮮策略』(1880)であり、この政策を批判したのはアメリカ人の O.N.Denny、CHINA AND KOREA(Shanghai,1888)であった。朝鮮が清の属国になったのは17世紀の武力侵攻によってであったが、O.N.Denny にはこれについて観点が欠けていたため、O.N.Denny の主張では朝鮮は清から独立は実現できず、日清戦争によって独立し、清との間で欧米と同様の韓清通商条約(1896)を締結するにいたった。本研究は『朝鮮策略』(1880)、CHINA AND KOREA(1888)、日清戦争(1894ー95)、韓清通商条約(1896)を初めて総合的にかつ同一視野の中でとらえた。
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